
肛門疾患の治療方針

多くの方が症状を感じても「恥ずかしい」「たいしたことない」と我慢しがちですが、早期に相談することで手術をせずに改善できる場合もあります。気になる症状があるときは、まずは専門の医療機関で正確な診断を受けることが大切です。
当院の治療方針は、快適な排便を目指すことです。
痔核の切り方一つにも当院の特徴があります。
イボ痔を丸ごと切除すればその皮まで失いますが、病巣はイボの中の静脈瘤や誤った組織であってそれを包む上皮に問題はありません。
伸び縮みする働きがある重要な肛門にわずかでも上皮を取るとは機能的にリスクを生みます。
手間のかかる細かい手術でも上皮を残す手術が行われるのは、肛門本来の機能をなるべく失わずに、早い回復を目指すことを優先にしているからで、術後の見た目や美しさにも充分に配慮した術式です。

三大肛門疾患と主な肛門疾患

三大肛門疾患(痔)
内痔核・外痔核
「痔核」とはいわゆるいぼ痔、脱肛のことです。痔のなかで男性、女性とも最も多い疾患です。
もともと肛門にはクッションという血管(静脈叢)を含む正常な組織が誰にでもどんな人種でも性別の違いなく存在しております。そのクッションをささえる組織が長期の排便時のいきみと頻回の粘膜の移動によりゆるんでしまい,うっ血し痔核という静脈の瘤が生じたものです。痔核の症状は、脱出,出血,痛み,腫れです。
裂肛
歯状線と肛門縁の間の、肛門上皮にできた裂創を裂肛といいます。この部分は知覚神経がきているため、強く痛みを感じます。
特に刺激が内括約筋に及び痙攣を誘発すると、排便後数時間に及ぶ痛みが継続することもあり、この排便後痛は裂肛に特有の痛みと言えます。
痔瘻
歯状線にある肛門小窩から細菌が肛門腺に侵入し、化膿して膿瘍(膿の溜まり)を作る。この段階のものを肛門周囲膿瘍という。
溜まっている膿が広がり、皮膚を破って排膿し、その口がいつまでたっても塞がらず、肛門内と繋がった管を形成したものを痔瘻という。
その他の主な肛門疾患
肛門周囲膿瘍
肛門周囲が腫れて膿が溜まった状態です。ほとんどの肛門周囲膿瘍は肛門内に存在する肛門陰窩というくぼみに便中の細菌が侵入し、発生します。すなわち、痔瘻の初期症状です。
直腸脱
肛門から腸全体がめくれて脱出する病気です。高齢の女性に多く、ひどくなると10cm以上脱出することもあります。手術するしか方法がありません。
肛門ポリープ
肛門管の上方、肛門上皮と直腸粘膜との境目に全周性の波打った場所があり、そこが、排便時に刺激を受けて肥大化して大きく伸びて脱出した病態です。慢性裂肛と一緒によくできます。
肛門皮垂(スキンタグ)
いぼ痔などの治癒後に皮膚がたるんで残ったもので、違和感を生じることがあります。
痔核の治療
ALTA療法

ALTA療法(ジオン注射)は、メスで内痔核を切ることなく、ALTAを注射で痔核内に投与することで痔核を固めて小さくし、脱出と出血症状を改善します。
切る・取るという手術に比べて再発率が高いものの,傷ができないぶん簡単でその割に効果は驚異的です。
治療にあたっては特殊な投与技術(四段階注射法)が必要なため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければ 治療を行えません。
当院では、この療法が開発されて以来、5000人以上の治療例があります。
ALTA療法のメリット

痛みや出血が少ない
切開を伴わないため、治療中や治療後の痛みが軽く、出血も少ないのが特徴です。麻酔を使用するため施術中の苦痛もほとんどありません。

短期間での治療が可能
注射のみで完結するため、日帰りでの治療が可能です。体への負担が少なく、仕事や家事を長期間休む必要がありません。
また、周囲に知られにくく、プライバシーを保ちながら治療できる点も安心です。

切る治療に比べ短期間で回復
治療はおよそ30分程度で終了します。
手術と比べて体への負担が少なく、通常は短期間で回復が見込まれます。
回復までの経過には個人差がありますが、術後の経過を見ながら医師が適切にフォローいたします。
半閉鎖式結紮切除術

痔核手術の王道です。痔核がどんな状況であるにせよ、ほぼ万能に対処できる。
当院では痔核根治手術といえばほとんどの場合、この方法を採用しております。
裂肛の治療
急性裂肛
肛門が狭くなっていない急性裂肛に対しては基本的には薬物療法で、裂肛をきたすような硬い便と肛門部を適切な薬で改善させることです。
皮膚弁移動術(SSG)
肛門が度重なる裂肛のために肛門狭窄に至っている場合の基本的な手術法です。

きれ痔(裂肛)を何回も繰り返し長期化したものを慢性裂肛といいます。
慢性裂肛になり肛門が狭くなることを肛門狭窄といいます。こういう状態になると手術的治療しか方法がなくなります。
現在信頼されている方法が皮膚弁移動術(SSG)という方法です。
慢性裂肛の部分を切ると(切開,切除)元の肛門の大きさにしなやかに伸びます。
このまま傷が治ると元の狭くなった状態になりますので、慢性裂肛があった場所に外側の皮膚をずらして縫合します。
痔瘻の治療
肛門周囲膿瘍
この時期は膿が溜まるにつれて痛みがひどくなり、熱がでることもある、膿が出てしまえば痛みがとれるので小さく切開を加え排膿する。
その後、鎮痛剤や抗生物質を服用し、炎症が治るのを待つ。抗生物質で一時的に化膿は治ったように見えるが、大部分の場合、痔瘻となる。
括約筋温存術くりぬき閉鎖術

はっきりと瘻管を形成した痔ろうは、根治手術をしなけらば治りません。
手術を嫌い放置していると、痔瘻が枝 分かれして複雑化したり、痔瘻から癌(痔瘻癌)が発生することもある。いずれにせよ、発見したときが手術の時期である。
括約筋に損傷を与えない括約筋温存術が治療の本筋である。
括約筋を切ることは術後の障害を招く為、もってのほかと言えます。